関節リウマチ
関節リウマチとは朝のこわばりに始まり、手足の関節が腫れ、痛くて動けなくなる病気で膠原病の一種です。
進行すると、関節が変形してしまいます。原因は諸説ありますが、ストレスによる免疫(細菌などから身体をまもるシステム)の異常、遺伝子の異常、ウイルスや細菌感染などが組み合わさって起こるのではないかと考えられています。
関節リウマチは全身の関節に炎症と進行性の関節破壊を来し、日常生活ができなくなり、肺炎等の内臓病変を合併すれば生命予後の悪化につながります。しかし、関節リウマチの治療については、近年、薬の発達により、痛みをやわらげるだけの治療から病気を治す治療に変わってきており、なるべく早期に診断し、治療をしていけば病気の寛解につながります。
関節リウマチの診断と治療について
関節リウマチ診断のためには細かな問診と診察、血液検査、画像診断(レントゲン検査による骨破壊の評価や関節エコーによる滑膜の炎症の評価)、進行度判定のため細かな症状観察と検査によって薬の選択を患者様と相談の上行います。
関節リウマチの初期症状
関節リウマチの初期症状として、両手のこわばりや手首、肩、肘、膝、足首などの痛みや腫れが朝に起こり、朝のこわばりによる午前中の家事や仕事がおっくうになる、などがあげられます。
初期の関節リウマチは、これらの症状が軽く、診断することが難しい場合がありますので、症状が続く限り経過を診る必要があります。
関節リウマチを含む膠原病は、早期に発見することにより、適切な内服薬、または点滴や注射を使用する治療で、ほぼ病気の進行を防ぐことが可能な時代になっています。
関節の痛みや腫れは、老若男女問わず起こりうる症状で、どんな病気が隠れているか診断するまで解りませんので、長く続く関節の症状がございましたら、なるべく早くご相談下さい。
また関節リウマチに似た症状の病気や代謝疾患の診断・治療にも対応致します。
リウマチ性疾患(乾癬性関節炎、リウマチ性多発筋痛症など)や代謝疾患(痛風性関節炎、偽痛風など)
関節リウマチの検査
血液検査
関節リウマチの診断とともに、ほかの病気との鑑別や合併症を調べます。リウマチ因子だけでは判別できないことが多いため、抗CCP抗体、抗ガラクトース欠損IgG抗体、などを測定します。
治療中の方は薬による副作用がでていないかを調べるために貧血や肝臓、腎臓の検査もします。
CRP (C反応性タンパク) |
全身の炎症反応を示しますので、初期の関節リウマチの方では正常値のこともあります。 |
リウマチ因子 (RF) |
リウマトイド因子とは、自己抗体のひとつで、関節リウマチや他の病気の方にもみられます。 健康な方にも陽性の場合があります。 たとえリウマチ因子が陰性でも関節リウマチではないとは言い切れません。 また早期の方では陽性率は著しく低下します。 関節リウマチと診断された患者様の場合は治療経過を診るために測定します。 |
抗CCP抗体 |
抗CCP抗体は、リウマチ因子と違って、特異性が高く、陽性の方は90%以上の確率で関節リウマチと判定できます。 発症前から陽性になることもあり、早期の関節リウマチの診断にも役立ちます。 但し、関節リウマチ以外の病気でも陽性になることがあります。 |
画像検査
関節の破壊などを確認できます。診断、病気の進行をチェックするうえで大切な検査です。
X線検査 (レントゲン検査) |
X線検査は、関節の骨の状態をみる検査です。定期的に検査を行います。 |
MRI |
骨だけでなく、軟骨、腱、筋肉、滑膜、血管などもわかりますので、関節の炎症、骨髄浮腫、骨のびらんなど、関節リウマチに特徴的な所見を早期から発見できる、最先端の診断方法です。 |
超音波(関節エコー) |
痛みや放射線の被ばくを伴わずに、関節炎の状態を画像で確認でき、診断や病気の状態を画像として見ることができます。 |
関節リウマチの治療
関節リウマチの薬物療法
関節リウマチの診断がついたら、患者様と相談の上で可能なかぎり早期に経口抗リウマチ薬による治療を開始します。
※但し、薬剤の選択においては呼吸器の病気や肝臓、腎臓の検査など、薬による副作用が出ないか前もって検査を行います。呼吸器や肝臓、腎臓に病気が疑われれば先ず専門病院に紹介します。
初期治療から約3ヶ月後に効果判定を行い、十分な治療効果がない場合には内服薬の変更または増量をします。おもな 内服薬としては、メトトレキサート、サラゾスルファピリジン、ブシラミン、ミゾリビン、タクロリムスなどがあります。
これら抗リウマチ薬による治療効果は数ヶ月かかりますので、症状に応じて即効性のあるステロイドや非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)の併用をすることもあります。
内服薬による治療に効果がなくなったり、病気のコントロールが困難な場合は点滴や注射による生物学的製剤の適応を検討するために専門病院を紹介することもあります。病状により早期に生物学的製剤を必要とする場合があります。
関節リウマチの外科的療法
関節破壊が高度になり日常生活において支障をきたすようになると手術療法が行われます。
手指の関節炎による近傍の筋腱断裂や薬の効かない関節炎は、関節滑膜除去術を行うこともあります。
破壊された関節は再生困難であり、日常生活改善のための人工関節置換術、関節固定術、関節形成術などがあります。